ドイツのジレンマ
於保です。
先日、S&Pによってギリシャとポルトガルのソブリン格付けが引き下げられた。
ポルトガルはAマイナス、ギリシャがBBプラス。
ソブリン格付けがBBプラスというのはジャンクレベルに相当し、投機対象になる可能性のあるものです。
そもそも、ソブリンとは何か?
その場その場で意味するところに差異はあるかと思いますが、今回の場合は「国債」を意味しています。
債券と言われるものには、いくつか種類がある。
発行体によって分ければ、国債、地方債、社債、財投機関債などがあり、言うまでもなく、これらの中で最も信用力が高いのが国債、すなわちソブリン債。
このソブリンがBBプラスというのは、ある意味国家をマネーゲームの対象としてみなしているといっても過言ではないと思います。
現在ドイツがかなり支援に慎重姿勢をとっていて、ギリシャ支援がスムーズに前に進まない。
にもかかわらず、ギリシャは5月19日に国債の大量償還(約1兆円)を迎えるので、このまま支援が進まなければ完全にアウト、デフォルトです。
何故ドイツが支援を渋るのか?理由の一つは、5月9日に地方選挙が迫っており、メルケル政権側が不利になる政策を取りたくないからでしょう。
ギリシャ支援にはかなりのリスクが伴う→最大の資金拠出国ドイツが慎重姿勢→S&Pによるジャンクレベルへの引き下げ→ドイツがさらに慎重姿勢をとる、というかなり危ない状況です。
自国内での安全策をとるか、EU全体危機の一時回避をとるか、スケールの大きいジレンマです。
ドイツでは選挙後の9日から19日に出資を行うという策が有力であり、ギリシャはリスクを回避するためにIMFに出資要請を行っているのが現状です。
出資を要請されたIMFの動向には注目ですね。
理論と現実、そこから見る日本経済
こんにちは、陳です。
理論と現実の乖離はしばしば指摘されておりますが、今日はその事例を一つ紹介したいと思います。
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たとえば、インフレとデフレに関する議論。
一般的なマクロ経済学の教科書では、
インフレだと、物価が上がり、それに伴い名目賃金も上昇する。
他方、デフレだと、物価が下がり、名目賃金も下落する。
といった趣旨のことが記載されているだろう。
現実はどうだろうか。
インフレだと上記の理論通りに事が運ぶのは、みなさんもお気づきでしょう。
例えば、名目賃金に関して言えば、給料が上がることに対して不満を唱える者はいないであろう。
ゆえに、インフレ下では、調整のメカニズムがうまく働くと言える。
しかし、デフレだと理論通りに行かない。
名目賃金を例にとれば、給料が下がることに対して反対する声は後を絶たない。
最悪、ストライキ等に発展しかねない。
また、社会保障でもらうお金の名目額も下がらない。
具体的に言えば、こうしたお金は物価スライド制をとっているわけだが、
インフレ時は給付額が増加するにも関わらず、デフレ時は給付額は下がらない。
ゆえに、デフレ下では物価下落に伴って、名目賃金は下落しない。
つまり、デフレ下では、うまく調整のメカニズムが働かないと言えるのである。
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現在、日本における、debt-to-GDP比率は190%前後であり、ギリシャのそれは120%弱である(注1)
日本においては、デフレによって、debt-to-GDP比率はさらに押し上げられると考えられる。
というのは、周知の通り、デフレでは債権者は“得”をし債務者は“損”をするためだ。
では、インフレが良いのか、というとそうでもないと思う。
インフレで物価が上昇すれば政府支出が増加し、やはり、debtを増やしかねない。
どうなるのだろうか、日本は??
(注1)CIA - The World Factbook より (https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/)