2009.10.21~10.28
問題
(三洋電機)は自動車用電池事業において供給先を特定しない全方位販売を展開する方針を明らかにした。さらに平成24年以降にはハイブリッド車用電池システムの工場の海外展開を検討、海外メーカーの動向にあわせ国外にも拠点を設ける。
計画では今年末にもハイブリッド用リチウムイオン電池の生産を国内で開始し、23年には110万個体制を構築する。さらに800億円を投じて27年に1千万個に引き上げる目標を掲げており、欧州、米州、中国にハイブリッド用電池システムの組み立て拠点を設ける。
またプラグインハイブリッド車向けの高性能リチウムイオン電池の生産を始め、23年から量産化する予定。最終的に32年に自動車用電池市場でトップシェア40%を目指す。
(日立)グループでリチウムイオン電池の生産を手がける(日立)ビークルエナジーはハイブリッドカー向けのリチウムイオン電池の生産ラインを大幅に拡大した完成したラインは月間30万セルの生産が可能であり、既存の4万セルと泡さえ34万セルの生産能力を持つことになる。これにより年間10万台のハイブリッドカー向けの供給が可能となる。
解説
(三洋電機)は売上高2兆円を超える国内有数の電機大手であるが、業績不振に陥っており5期連続で売り上げが減少、過去5年のうち08年を除き最終赤字と厳しい経営環境が続く。
同社は蓄電池において世界最大手であり、事業展開の柱の一つとしている。そのため今後の成長産業であるエコカー用リチウムイオン電池に多額の投資を行う。現在もフォード、本田技研工業、フォード向けに提供している。今後はトヨタへの供給もあると考えられている。
なお現在でも日本の電機各社は自動車メーカーと組んで電池を供給しており、(三洋電機)以外でもNECが日産と、パナソニックがトヨタと、GSユアサが三菱自動車と組んで電池の供給を行っている。
国内電気最大手である(日立)グループは現在GMと提携しており、2010年にも同社のリチウムイオン電池を搭載したハイブリッドカーを発売する予定である。目標販売台数は10万台であり、これにあわせた設備投資であると考えられる。GMに関しては電気自動車シボレー・ボルトにはLGのリチウムイオン電池を搭載予定であり、今後の日立との関係がどうなるのかは不透明。
リチウムイオン搭載の次世代自動車について
・ハイブリッド
現在のハイブリッドカーの蓄電池はニッケル水素電池が主流である。理由として安全性の問題や電池としての特性があるが、今後はより多量の電機を蓄電可能なリチウムイオン電池に移行していくと考えられる。
現在の状況としては、トヨタ、ホンダ、フォード、はニッケル水素電池を用い、ダイムラーはリチウムイオン電池を使っている。BMWではX6にニッケル水素、7シリーズにリチウムイオン電池を用いている。
・プラグインハイブリッド
プラグインハイブリッド車はハイブリッドカーとは異なり電池のみで走ることが可能なように外部からの充電機能を追加したものであり、必然的に充電容量を多くする必要がありリチウムイオン電池が使われる。現状問題点の多い電気自動車に変わるか過渡期の存在であるとも言える。
トヨタが近々発売予定のプラグインプリウスは電池のみで20kmの走行距離、総合燃費50km/lを目指している。充電時間は100Vで180分、200Vで100分を目標としている。
・電気自動車
こちらも必然的に充電容量を多くする必要がありリチウムイオン電池が使われる。しかし現実的な問題として充電容量の少なさや充電時間の長さ、リチウムイオン電池価格の高さが障害となり本格的な普及には相当の時間がかかると考えられる。
現在三菱およびスバルが法人向けに既に電気自動車を発売しており、日産も「リーフ」を来年にも量産予定であり、今後も開発競争が激化すると思われる。
この電気自動車の生産販売の拡大にはカリフォルニア州の規制がかんれしているといわれている。カリフォルニア州では一定以上の販売台数の自動車会社に対し排出ガスの少ない次世代自動車の販売を義務付ける実施する予定になっており、これに対応するため電気自動車に行っていると考えられる。この規制の中では電気自動車に関してもいくつか区分があり、一回の充電で80km以上走ることが最低条件となっており、160km以上走るものはさらに少ない販売台数ですむ。電気自動車の航続距離で80kmと160kmが多いのはこれに関連していると考えれられる。
リチウムイオン電池について
リチウムイオン電池はソニーが1990に世界で始めて実用化した電池で今も日本企業が大きなシェアを握っている。利点としては電圧の高さやエネルギー密度の高さから小型軽量化することが可能なことが大きい。現在でも携帯電話やノートパソコンなどで使われている。
次世代自動車に欠かせない部品であり各社が能力の増強を行っている。日本以外でも上記のLGや中国のBYDが躍進しており、更なる競争激化が予想される。
リチウムについて
リチウムは原子番号3のアルカリ金属でありレアメタルの一種である。産出量は以下のとおり
| (単位トン) | 鉱業生産量 | 経済的埋蔵量 | 確認埋蔵量 | ||
| Mine production | Reserves2 | Reserve base2 | |||
| 2007 | 2008 | ||||
| United States | W | W | 38,000 | 410,000 | |
| Argentinae | 3,000 | 3,200 | NA | NA | |
| Australia | 6,910 | 6,900 | 170,000 | 220,000 | |
| Bolivia | - | - | - | 5,400,000 | |
| Brazil | 180 | 180 | 190,000 | 910,000 | |
| Canada | 707 | 710 | 180,000 | 360,000 | |
| Chile | 11,100 | 12,000 | 3,000,000 | 3,000,000 | |
| China | 3,010 | 3,500 | 540,000 | 1,100,000 | |
| Portugal | 570 | 570 | NA | NA | |
| Zimbabwe | 300 | 300 | 23,000 | 27,000 | |
| World total (rounded) | 25,800 | 27,400 | 4,100,000 | 11,000,000 | |
このように南米に偏在しておりリチウムイオン電池の生産拡大に伴い、将来激しい争奪戦になることが予想される。