2010.1.20経済ニュース

1/20経済ニュース
担当:堀越

・__1__電鉄は14日、保有していた日本航空株を全株売却し、投資有価証券売却損として90億円を2010年3月期の特別損失に計上すると発表した。__1__は02年に日航と経営統合した旧日本エアシステムの筆頭株主だった関係から、09年9月末で日航の普通株の2.9%に当たる8042万株を保有し、事実上の筆頭株主だった。売却単価は平均で77円。    
・スズキは15日、自社株19.9%を__2__に譲渡し、__2__が筆頭株主となったと発表した。提携の具体策ではまず部品の共通化に取り組む。部品やプラットホーム(車台)、エンジンなどを対象に両社で共通化が可能な品目を洗い出し、早ければ2010年度から実施する。環境技術では「ハイブリッド車や電気自動車などすべてのプロジェクトでVWと共同開発か、技術供与を受ける」と表明した。
・マツダは__3__との中国での乗用車の合弁生産を2012年までに解消する。独自判断で増産などが可能な体制を整え、世界最大の自動車市場に成長した中国の事業を強化する。
・政府は15日、環境に配慮した住宅の新築や改修にポイントを与える「住宅版」__4__制度の詳細を発表した。新築は1戸あたり30万ポイント(1ポイントは1円相当)を発行。改修は大型の内窓設置や外窓交換の場合で、1カ所あたり1万8000ポイントとする。獲得した__4__は、同時に実施する台所や浴室の改修といった環境対策以外の費用にもすぐに使えるようにする。
・YKKAPと__5__は15日、省エネ効果の高い窓の販売で連携すると発表した。政府が創設する「住宅版__4__」制度でポイント付与の対象になるYKKAPの商品を主力店舗で取り扱う。__5__はエアコンや発光ダイオード(LED)照明などと一体で販売する。
・東京証券取引所が15日発表した1月第1週(4~8日)の投資部門別株式売買動向(東京・大阪・名古屋3市場、1・2部と新興企業向け市場合計)によると、外国人が7週連続で(6、買い越したor売りこした)。

・__7__は15日、米の有力化粧品メーカー、ベアエッセンシャル(カリフォルニア州)を買収すると発表した。計画を発表した15日の株価は一時、昨年来高値となる2099円まで上昇。前日比98円(5・04%)高の2040円で引けた。 「(ベアとは)極めて強力な補完関係を築ける。グローバルプレーヤーとして成長するための大きなステップになる」。前田新造社長は同日の記者会見で、買収の意義をこう語った。
・PHS最大手の__8__は公的機関の企業再生支援機構を活用して再建を目指す方向で最終調整に入った。機構に加え、__9__と投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が出資を検討。ウィルコムと機構は取引金融機関に対し数百億円規模の債権放棄を求める見通し。現在の株主構成は米投資ファンドのカーライルが60%、京セラが30%、KDDIが10%。大幅減資を行い機構が筆頭株主となる見通しだ。
・英食品大手__10__に敵対的買収を仕掛けている米食品大手__11__に対抗し、「キスチョコ」などが主力商品の米食品大手ハーシーが__11__を上回る約179億ドル(約1兆6200億円)の買収額を提示する見通しであることがわかった。
英食品大手__10__は19日、米食品大手__11__の買収提案を受け入れることでクラフトと合意した。これまでキャドバリーの経営陣は「評価額が低すぎる」として一貫して提案に反対してきたが、クラフトが新たに買収提案額を119億ポンド(約1兆7700億円)と従来の101億ポンドから引き上げたため、受諾に転じた。
・韓国製などの太陽光発電パネルの販売事業への参入が相次いでいる。虫駆除など家庭向けサービスのサニックス、太陽光発電装置販売の新興マタイ(長野県佐久市)などは国産品より割安な家庭向けパネルの輸入を開始した。国産品の標準的な家庭向け価格は出力1キロワットで60万円台後半(1戸に必要なパネルはおおむね3キロ~4キロワット)だが、これより3~4割安い。発電効率は国産品とほぼ同じ。
・__12__はハイブリッド車の世界生産台数を2011年に09年に比べ約2倍の100万台に引き上げる。主力の「プリウス」などを増産するほか、2~3年内に新たに10車種程度を投入。
・__13__は18日、マネックスグループとの証券子会社統合のための株式交換で株式譲渡益が約90億円発生したと発表した。マネックスGは同日、__13__が議決権の22.5%を保有する筆頭株主になったと発表した。
・中国財政省によると、2009年の中央と地方を合わせた全国財政収入(速報値)は前年比11.7%増の6兆8477億元(約91兆円)となった。年前半は不調だったが、後半に国内景気の回復を映して急速に持ち直した。09年の財政赤字は予算で示した9500億元以内にとどまる見通しで、中国政府は財政の悪化を招かずに積極財政を続けられると判断している。
・__14__と__15__は、高速道路会社や自治体などと組み、電気自動車(EV)用の充電インフラの全国整備に乗り出す。主要都市や幹線道路沿いに2012年までに最大で1000カ所の充電器を設置、企業や個人に有料で提供する。
特別編集委員 末村篤
 ダボス会議を主催する世界経済フォーラムは「グローバル・リスク」年次報告書で、2010年の世界経済の最大リスクは資産価格の暴落とし、米英を名指しで先進国の財政危機をリストアップした。危機対応の金融・財政政策による資産バブルと、財政破綻の綱引きが焦点となる世界経済の厳しい現状分析である。
 報告書の認識は、投資の世界の変化と整合的だ。

 最強の投資家といわれるW・バフェット氏が巨費を投じて割安とはいえない鉄道会社を買収したのは、低い投資収益を甘受して確実な事業収入を選好したと解釈できる。空売りで有名な投資家は米国の資産運用産業を「売り」と言う。共通項は、資産運用パフォーマンス(成績)の大幅な低下が免れないという読みだ。著名な債券投資家であるB・グロス氏はこれを「投資家が受け入れねばならないノーマライゼーション(正常化)」と呼んでいる。
 米国の資産運用は1980年代以降、長期金利の低下(債券価格上昇)と株価上昇で空前の成績を収めた。00年のIT(情報技術)バブル崩壊後も、住宅ブームと証券化商品バブルで08年のリーマン・ショックまでおおむね順風だった。
 金融機関と資産運用産業の繁栄は、労働分配率のすう勢的低下(資本分配率上昇)や、低収益の国債などは外国の投資家に買わせ、自国の資金は高収益を見込める内外の株式などに投資することでもたらされた。他国の貯蓄を利用しつつ、自由化と金融技術革新と借金のテコを駆使した信用創造による成長が、企業と家計を潤したのは事実だ。
 しかし、株式や不動産などの資産運用収益が実体経済の成長率を上回り続けることはあり得ない。キャピタルゲイン(値上がり益)偏重の投資収益は、価格形成の誤りや利益先取りと隣り合わせだ。奇跡的な成長後に成熟した日本経済は運用収益を維持しようとしてバブルにまみれ、一足先にバブルの崩壊で長期低迷に陥った。最高の成績を誇った米英を震源とするバブルの生成と崩壊はその繰り返しなら、その後の展開も日本に似ておかしくない。
 バブルの崩壊は金融機関のみならず、借り手の企業や家計にダメージを与える。危機対策に乗り出す政府の財政膨張で国民の貯蓄は国債に吸収され、運用収益は低迷する。オバマ大統領が言うように、米国が「借金と消費と輸入から貯蓄と生産と輸出」に転換すれば、その確率は高くなる。

 米国と表裏の日本は調整の大波をかぶる一方で、黒字縮小と円高で資本と購買力の海外流出が減り、黒字国にかかるデフレ圧力が緩和する可能性がある。日本経済と運用成績が上向くかどうかはともかく、米欧経済と運用成績の悪化との対比で相対的に浮上する確率は高まるのではないか。
 (月は)満ちれば欠けるのが自然の摂理。正常化は投資家に、無理な株高を望まず、足るを知ることの大切さを教えるのだろう。
 株価の高きを貴しとせず
(2010年1月20日日経新聞朝刊より)






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